夫婦の定義──君が僕のすべて──
「そうなんだ…。それにしても…タクミんちって、なんかすごそうだな…。」

「親父は警視総監で、母親は弁護士で、兄貴は政治家で…。ついでに姉貴は外科医だ。」

「すごすぎる…。」

「エリート一家だろ。その中でオレだけがその道から外れたから、異端児扱いだよ。」

「そうなのか?」

「オレも一応、高校まではエリート進学校のトップだったんだけどな…。超難関大学にも受かって、しばらくは通ってみたけど…辞めた。」

「なんで?」

「つまんなくて。当たり前みたいに親の期待に応えて生きてきたけど、オレのしたい事とか欲しい物とか、自分で手を伸ばして手に入れたいと思った事も、手に入れようとした事もなかったから。なんのために生きてんだろって思ってさ。」

「将来の夢とかなかったのか?」

「なかったな…。とりあえず、官僚になるつもりではいた。」

「官僚って…!」

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