夫婦の定義──君が僕のすべて──
「若い頃は家族の事が嫌でしょうがなかったから、連絡もずっとしなかったし、あんな奴ら家族じゃないとか思ってたりもしたけど…30過ぎてやっと、親とか兄貴とか姉貴とか、尊敬できるようにもなったし…なんとなく感謝もできるようになったと言うか…。」

「良かったじゃん。オレは生まれてすぐに母親に置き去りにされてるから、実の母親の事が憎かったけどさ、レナが言ってくれたんだ。私はユウの実のお母さんに感謝してる、お母さんが産んでくれたからユウに会えたって。母親がオレを置いて出て行ったから、今のおふくろとも会えたし、おふくろに愛情注いで育ててもらえたんだよって。」

「へぇ…。あーちゃんらしいな。」

「みんないろんな事があって今があるんだな。リュウが激ヤンだったのには驚いたけど。」

「言えてる。」

タクミはおかしそうに笑ってビールを飲み干した。

「ユウとあーちゃんもさ、いろいろあって一緒になったんだろ。今はつらくても、きっといつかまた、前みたいに笑える日が来ると、オレは思うよ。」

「だといいんだけどな…。」

ユウはレナの笑顔を思い浮かべながら、また二人で笑える日が来る事を願って小さく呟いた。





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