夫婦の定義──君が僕のすべて──
教会を見て、レナはユウとチャペルで結婚式を挙げた日の事を思い出す。

(そう言えば、結婚して今日でちょうど10ヶ月か…。結婚式を挙げたのは、ちょうど9ヶ月前…。)

大切な人たちに見守られて、チャペルで結婚式を挙げたのは、ほんの数ヵ月前の事なのに、もう随分前の事のように感じた。

「こんなところに教会があったのね。知らなかった。行ってみようか。」

直子について教会の扉を開けると、ステンドグラスから柔らかな陽が射し込んでいた。

「キレイね…。ユウとレナちゃんの結婚式を思い出すわね。二人とも素敵だったな…。」

レナは教会の中に足を踏み入れ、祭壇の前に立つ。

そして、膝をついて、手を組み合わせた。

(神様…。お願いです…。ユウを誰よりも幸せにして下さい…。本当はずっとユウのそばにいたいけど…ユウと幸せになりたいけど…ユウが幸せになれるなら…私は…。)

静かに祈りを捧げるレナの背中を、直子は切ない思いで見つめていた。

そして直子も、手を組み合わせて祈る。

(神様…どうかユウとレナちゃんを幸せにして下さい…。これからもずっと二人で一緒に笑えるようにして下さい…。)


どれくらい神に祈れば、祈りが届くのだろう?

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