夫婦の定義──君が僕のすべて──
レナが診察室に入ってから数分後。

「えぇーっ?!」

ユウは診察室から聞こえた大きな声に驚いて、思わず診察室のドアを見つめた。

(何?!なんだ?!)

そして程なくして、看護師がクスクス笑いながらドアを開ける。

「片桐さんのご主人、どうぞ中へ。」

「ハ、ハイ…?」

案内された診察室では、レナが放心状態でイスに座っている。

「あ、ご主人ね。どうぞ、お掛けになって。」

「あ、ハイ…。」

イスに座るよう促され、ユウはわけがわからないまま腰を下ろす。

「奥さんね、妊娠されてます。」

「え……えぇっ?!」

ユウもその言葉に驚いて大声をあげる。

「今、5週目相当の大きさですね。まだごくごく初期なので今の段階では特定はしませんが、おそらく予定日は8月中旬あたりですね。」

「は、はぁ…。」

「気分が悪かったり、だるくて眠かったりしたのは、つわりのせいですね。熱っぽいのは、妊娠して体温が上がっているからで、下腹部の辺りが痛むのは、妊娠して子宮が少し大きくなって、引っ張られる感じです。」

「そうなんですか…。」

どこか信じられない思いで、ユウの耳を女医の言葉がすり抜けて行く。

「奥さん、子宮内膜症気味だったのね。少し妊娠しにくい状態だったと思いますけど、出産されると子宮内膜症も改善されますよ。」

「ハ、ハイ…。」

(に、妊娠…?出産…?!)



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