夫婦の定義──君が僕のすべて──
それから、会計を済ませて二人で黙ったまま歩いてマンションに戻った。

(まさか…妊娠って…。レナはどう思ってるんだろう…。あんなに怖がってたし…。)

ユウはソファーに座ってタバコに火をつけかけて、やめる。

(いやいや…タバコはダメだ…。)

レナは帰ってから、イスに座って、黙って何かを考えている。

そして、ユウの隣に座り、手を握った。

「赤ちゃんが、いるんだって…。」

レナがポツリと呟く。

「えっ…あ…!レナ、声…!!」

久し振りに聞くレナの声にユウは驚く。

「妊娠してますよって言われたら、ビックリして…思わず、えぇーっ?!って。」

(あ…あれ、レナの声だったのか…。)

「ビックリし過ぎて、それから何も言えなくなっちゃった。」

「うん…。」

レナはユウの手を握ったままうつむいている。

(やっぱり…怖いのかな…。)

ユウは黙ってレナの手をギュッと握り返した。

(レナ、どうするつもりだろ…。)


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