あたしの意地悪な弟
第1章

はじめ

 弟があたしの弟になったのは5歳の時だった。

 それまでは、隣に住んでいた幼馴染だった。

 でも、弟が5歳の誕生日を迎えた日に、弟の両親は事故で亡くなってしまった。

 その時弟はあたしの家で遊んでいて、その知らせを聞き弟は涙を流した。

 弟は何日も何日も泣いていた。

 兄弟もいない弟は1人になった。

 引き取ってくれる親戚もいなかった。

 そこで、親同士も仲が良かったあたしの家に弟がやってきた。

 しかし、弟は家に来てから約2年間泣きも笑いもしなかった。

 弟の7歳の誕生日。

 あたしは、弟に弟の両親の写真を見せた。

 家に来てから泣きも笑いもしなかった弟が涙を流し始めた。

 そんな弟にあたしは、

 「辛いことも悲しいことも楽しいことも嬉しいこともあたしが一緒に受け止めるから。だからあたし達と家族になって!!」

 と言った。

 弟は小さく頷いた。

 それから弟は笑うようになり、あたしも嬉しかった。

 でも、それ以来弟が泣く姿を見ることはなかった。

 あれから10年。

 あたし達は高校2年生になった。

 

 
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