あたしの意地悪な弟
 利久斗の言葉の意味を理解しようとしているうちに2人が戻ってきた。

 そういえば・・・。

 「勇輝って本好きだったっけ?」

 「ま、まぁまぁ好きだけど」

 「ふーん」

 そうだったっけ?

 「それじゃー今度あたしになにかいいの貸してよ!」

 あたしは勇輝の座っている方に前のめりになりながら言った。

 「!?・・・む、無理」

 「え?」

 「あ、いやお前が読めそうなのないから」

 「そっか」

 あたしはなぜかモヤモヤした感じと悲しさを感じた。

 なんだろうこの気持ち・・・。

 「いっ!!」

 あたしが落ち込んでいると勇輝がなぜか痛がっていた。

 「勇輝?」

 「いや、えっと・・・ど、土曜日にでも一緒に見に行くか?」

 「何を?」

 「だから本をだよ」

 さっきまでの気持ちがどこかに吹っ飛びあたしは一気に幸福感を感じた。

 「行く!!」

 あたしは勢いよく勇輝の両肩に手を置いた。

 「お、おう。なら行くか」

 あー土曜日が待ち遠しいな~。

 と、その前に・・・・・・。



 ―――放課後。

 「あー!!もうなんでこんなに汚いの!?」

 あたしと勇輝は資料室の掃除を始めていた。

 「埃だらけだな」

 「埃どころか資料もいっぱいありすぎ、これ終わるの?」

 
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