あたしの意地悪な弟
 最近多いなこういうこと・・・。

 ・・・そういえば勇輝って昔から人のこと悪く言ったりしないやつだったな。もしかして、何か理由があってあんなのこと言ったのかも。

 考えても答えがでないなら本人に直接聞くしかない。

 そう思い、あたしは走ってきた道をまた走って戻った。


 しばらく立ち止まっている勇輝の後ろ姿が見えた。

 見つけた!けど、あそこで立ち止まってなにしてるんだろう・・・?

 「ゆ・・・!?」

 声をかけようとした時、勇輝の影じゃないもうひとつ影があることに気づいて、あたしは咄嗟に身を隠した。

 勇輝誰かと喋ってる?一体誰と?

 あたしは勇輝の正面にいる誰かを見るために場所を移動した。

 あれは・・・綾乃?なんで綾乃がここにいるの?

 会話の内容が気になるけど、これ以上近づいたら気づかれる。

 そう思っている時だった。

 綾乃が急に勇輝に抱きついた。

 「え!?」
 
 思わず驚きが声に出てしまった。

 あっちには気づかれていないみたい。良かった。

 でも・・・。

 そっかあの2人ってそういう関係だったのか。それらな今までの行動が納得行くかもしれない。

 「・・・帰ろう」

 あたしは2人に見つからないようにそっとその場を後にした。

 ーーーーー帰り道。

 (勇輝君を兄弟じゃなくて1人の男の子として見てみたらどうかな?)
 
 あたしの頭の中に急に綾乃が言っていた言葉が浮かんできた。この言葉は、もしかして勇輝を恋愛対象として見ているかの確認だったのかな?もしそうだったなら、あたし色々と邪魔しちゃってたな・・・。

 そう考えているとなぜかあたしの目から涙がこぼれ落ちた。
 
  
< 32 / 53 >

この作品をシェア

pagetop