あたしの意地悪な弟
 「で、凛ちゃんはどうして泣いてたの?言いたくないならいいけど」

 「実は・・・・」

 あたしがそう言いかけた時。

 “ガチャ”

 誰かが帰ってきたのがわかった。

 多分帰ってきたのは勇輝だ。でも、顔合わせづらいし、それに、勇輝は夕日先輩のことあまりいいように思っていないのに合わせるとあまり良くないよね。どうしよう。

 「凛ちゃん?もしかして帰ってきたの勇輝君?」

 「はい」

 「もしかして、顔合わせづらい?」

 夕日先輩はあたしの表情からなにかを察したようであたしに優しく言葉をかけた。

 「・・・はい」

 「そっか、なら俺が話してこようか?」

 「いや!流石にそこまで先輩にしてもらうわけにはいかないです!」

 「んー凛ちゃんにはもっと頼ってほしいんだけどなー」

 これ以上あたしが人に頼ってしまったらダメ人間になってしまう気がしてならない。

 そうこうしているうちに勇輝は2階にあるあたしの部屋の前まで来てしまった。

 「凛、誰か来てるのか?」

 「え、えーと・・・」

 なんて返せばいいのか、あたしの空っぽの頭では思いつかなかった。

 「入っていいか?」

 「ちょっ!!ま、待って!!」

 あたしの言葉を無視して勇輝はドアを開けた。

 あんだけ勇輝が夕日先輩のことで怒った後なのにこれはまずい!考えずに家に連れてきてしまったあたしが悪いんだけどね!

 「なんで夕日先輩が凛の部屋にいるの」

 あ、これは完全に怒ってる。

 

 

 


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