あたしの意地悪な弟
　今日２度目となる涙があたしの目からこぼれ落ちた。

　「あたし、勇輝に嫌われちゃった・・・」

　「凛ちゃん・・・」

　夕日先輩は優しくあたしの肩を抱いてくれた。

　「あたしが全部悪いのに、勇輝に怒鳴りつけてあたし最低だよ・・・」

　「俺なら凛ちゃんをこんなふうに泣かせたりしないのに。でも、凛ちゃんはやっぱり勇輝君が・・・」

　そこまで言いかけて先輩は口を閉じた。

　「せん・・ぱい？」

　「凛ちゃん、やっぱり待つなんてできない。こんな凛ちゃんをほっとけないよ」

　そういって先輩は優しくあたしを抱きしめた。

　「でも、あたし・・・」

　「いいよ、自分の気持ちがわからなくても。俺の側にいるだけで安心できるなら俺はそれだけでいい」

　先輩はこうやってあたしの側についいてて優しいその手であたしを支えて、優しい言葉をかけてくれる。

　甘えていいのかな・・・？先輩のそこ言葉に甘えちゃえば楽になれるのかな？

　でも、心のどこかで勇輝の顔や言葉が思い浮かぶ。

　そっかあたしは――――――。

　だけど、もう遅いよね。

　だって勇輝は綾乃と・・・・。

　「夕日先輩。あたしは以前から夕日先輩にすごく憧れていて今でも尊敬しています。先輩に対するあたしの気持ちは、特別な好きではないと思います。それでも、あたしのこと好きでいてくれますか？」

　あたしは涙でぐしゃぐしゃになった顔を先輩に向け言った。

　「うん、俺はどんな凛ちゃんでも好きだよ」

　先輩はやっぱり優しいな。

　「あたしの・・・今のこの痛みを忘れさせてくれますか？」

　「約束するよ」

　そして、あたしは一度目を閉じてから言った。

　「あたしを夕日先輩の側にいさせてください」

　
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