あたしの意地悪な弟
 「はぁーお前がまだ凛を諦めきれないなら勝手にしろ。俺まで巻き込むな」

 そう言って俺は利久斗を睨んだ。

 「きゃーこわいこわい。恋に飢えた狼はこわいわー」

 こいつうぜぇ。

 「そうやってまた本音を隠して、これからもそのまま隠していくつもりかよ」

 利久斗は急に真面目な顔をし始めた。

 「うるせぇな。別に隠してねぇよ」

 「へーそれなら、俺は諦めずに凛ちゃんにアタックかけ続けてもし凛ちゃんが俺になびいてもしらないからなー」

 「・・・・いや、それは絶対ないだろ」

 流石にそれは真顔で言う。

 「お前、それ俺に失礼だからね」

 「はぁ、それにな。凛はあの生徒会長のこと好きなんだから別れるわけないだろ」

 「え、そうなの?凛ちゃん生徒会長のこと好きだったの?俺はてっきり・・・」

 ん?

 「てっきりなんだよ」

 「いやーこれ以上言うと綾乃ちゃんに怒られそうなので」

 「はぁ?そこまで言ったら気になるだろ」

 「勇輝、お前わかるだろ綾乃ちゃんの怖さ。むしろお前の方が知ってるだろ」

 俺は怒っている時の綾乃を想像しただけで寒気がしてきた。

 「確かにな、椿は怒ったらなにをしてくるかわかんねぇしな」

 「だろ・・・」

 「「はぁー」」

 俺らは同時にため息をついた。

 すると。

 「2人してそんなに私のこと褒めなくてもいいんだよ」

 聞き覚えのある声が後ろから聞こえて、俺と利久斗は恐る恐る後ろに振り向いた。
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