あたしの意地悪な弟
 「でもごめん、私の責任でもあるから・・・。勇輝君のことをせめる資格はあたしにはないね。ごめんね勇輝君」

 そう言って椿は俺の頭から手を離した。

 「椿?」

 「あ、綾乃ちゃんは悪くないよ!全部勇輝の責任だろー」

 「違うの。凛ちゃんが夕日先輩と付き合い始めた日に私、勇輝君が逃げないように抱きついてスタンガンで・・・」
(※良い子の皆は・・・以下略)

 「え?スタンガン?」

 利久斗は哀れみの目で俺を見てきた。

 「それを凛ちゃんに見られちゃってて、凛ちゃんはそれを勘違いして・・・」

 え、あれ見られてたのか。

 「はぁ、確かにきっかけはそれがあったからかもしんねぇ。でもそれは、普段から俺が凛に対してもっと素直になってれば起きなかったことだ。根本的なとこで言えば俺が悪いから、その・・・泣くなよ椿」

 いつも強気な椿が泣いてるとどうも調子狂うな。

 「勇輝君・・・。そうだよね!」

 「え」

 あんなに泣いていた椿の表情はコロッと変わって笑顔になっていた。

 「おまえなぁ」

 「というわけで、これからどうする勇輝君?」

 「はぁ、どうするもなにもがむしゃらに頑張るしかないだろこうなったら」

 「さっきまですっとぼけてたくせにな」

 利久斗が余計なことを言う。

 「うるせぇな。もうここまで言ったらしょうがねぇだろ」

 「うんうん。男の子はそうでなくっちゃ!それならやる気がでた勇輝君にはいいことを教えてあげないとね」

 「なんだよいいことって」
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