あたしの意地悪な弟
 「それはねー私が勇輝君に抱きついているところ見て凛ちゃんはヤキモチをやいてたっててことだよ」

 え、それってどういうことだ?

 「それって?」

 「もう鈍いキャラは凛ちゃんだけで十分なんだけど。ここまで言ってわかんないの?バカなの!?ちゃんと脳みそつまってる!?」

 「すいません」

 さっき泣いてたくせにな。

 「とりあえず、勇輝君は凛ちゃんと仲直りしてね!これ以上勇輝君に言うことはなにもないから」

 「はいはい」

 「わかったんなら今すぐ行って!」

 「え、今かよ!?」

 「行動は早めにね」

 「わかったよ。んじゃ、行ってくる」

 俺がそう言うと椿は俺に言いたいことを言い切って満足した顔をした。

 そして俺は、凛のところに向かった。


 ――――――――――――――


 「あ、そういえば利久斗君に聞きたいことがあった」

 「ん?なになにー」

 「利久斗君はどうするの?」

 「え?なにが?」

 「本気になっちゃったんじゃないの?」

 綾乃ちゃんは今まで俺には見せたことのない優しい笑顔で笑った。

 「なんのことかな?俺は元々勇輝を焚きつけるために凛ちゃんにちょっかいかけてただけだからー。まぁ、凛ちゃんには全然相手にされてなかったけどねー」

 「そうやって利久斗君はいつになったら私達に本当の利久斗君を見せてくれるの?」

 「なんのこと」

 俺は思っていること全部を綾乃ちゃんに見透かさせているように感じた。

 


 
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