あたしの意地悪な弟
 「どうしたの急に?」

 どうせ綾乃になにか言われたから謝ってるだけなんだ。

 「綾乃に言われて・・・」

 ああ、やっぱりね。

 「綾乃に言われて気づいたんだよ。このままの俺じゃダメだってことに。だから、これからはちゃんとお前に素直になるよ凛」

 勇気は優しい笑顔で言った。

 「このままじゃダメってどういうこと?素直になるってなに?」

 あたしが聞くと勇輝は少し目をそらした。

 「い、いいか。一回しか言わないからな」

 え、なんか勇輝緊張してる?

 「う、うん」

 あたしが頷くと勇輝はあたしの肩に手を置いてあたしの耳元まで顔を近づけた。

 そして・・・。

 「俺はずっと前から凛のことが好きだ」 

 そう耳元で囁いて勇輝は離れた。

 今のはなに?どういう意味?

 「え?勇輝今のって・・・?」

 あたしはすぐに勇輝の顔を見た。

 「一回しか言わないって言っただろ」

 横を向いてそう言った勇輝の顔は耳まで真っ赤だった。

 その顔を見てあたしの頭の中では勇輝が耳元で言ったことがリピートされた。

 つまりそれは・・・。

 その言葉の意味に気づいた瞬間、あたしの顔はゆでダコのように真っ赤になった。

 “ドキンドキンドキン”

 鼓動がうるさい。 
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