あたしの意地悪な弟
 「勇輝、いつからあたしのこと好きだったの?」

 あたしは眠っている勇輝に問いかけた。

 「高校生になってから?それとも中学生になってから?それとも・・・」

 それとももっと前から?って問いかけようとした時・・・。

 「兄弟になる前から」

 寝ていたはずの勇輝がそういって目を開けた。

 「いつから起きてたの!?」

 あたしはびっくりしてガバッと体を起こした。

 「いつからって言うと、いつから好きだったの辺りから」

 うわぁぁぁぁぁすっごい恥ずかしい。

 「俺は凛と兄弟になる前、ただの幼馴染だった時からお前のこと好きだった。でも俺は、素直になれるタイプじゃねぇから今まで悪態ついてたけどな」

 そう言いながら勇輝も体を起こし伸びをした。

 「だけど、もうお前はあの生徒会長とつき合ってる」

 「そうだよ、あたしは夕日先輩とつき合ってるんだよ。今さらそんなこと言われても・・・」

 「ああ、そうだよな。今さらだよな。でもな、本当にお前が夕日先輩が好きだって言うんなら俺は諦められるけどよぉ、でも本当は違うんだったら俺はお前をあの腹黒生徒会長から取り戻す」

 「取り戻す?」

 「奪われたら奪い返すしかねぇだろ」

 「勇輝あんたやけに素直だね」

 「まぁ、色々と吹っ切れたしな」

 まぁ、こういう素直な勇輝も悪くはないかな。でも・・・。

 「あたしは夕日先輩が好きだよ。だからあたしは夕日先輩の側にいる」

 ごめんね勇輝、せっかく勇輝が素直になってくれたのに。

 「へー。それならさぁ、ちゃんと目見て言ってみろよ。生徒会長のこと好きって」

 「言えるよ、言えばいいんでしょ」

 



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