雷獣
「見てる間になったら怖いって岳人が音量オフにしてましたよ」
午前ティーを持ってきながら答えてくれる夏惟先輩。
「なんだ、怪奇現象かと思ったじゃん。」
「んなわけないじゃん。ね、はる?」
「え?まぁはい...。」
「遥香はお化けとか信じない派だからそんなこと言えるんだよ」
私、そういう系は信じないって事言ったっけ?
「なんでそんな事知ってるんですか?」
「はるが記憶なくなるもこういう風によく集まっていろんな話をしたんだよ」
「そうなんだ、なんかやっぱり私だけ覚えてないのってなんだか寂しいです。」
寂しそうに笑う遥香を見てなんて言ったらいいか迷う3人。
「ま、そのうちフッて思い出すかもしれないですし
それよりプリントは役に立ちましたか?」
「はい!ほんとに助かりました。ありがとうございます夏惟先輩。」
「あ、それで思い出した。」
岳人が鞄から1枚のプリントを出す。
「それって?」
「あぁ、音楽選択してるやつのプリント借りてきたけどほぼ空欄なわりになんか殴り書きメモが書いてあるけど意味あるか?」
「うん、選択は教科書よりもプリントや先生の話から出されることが多い言って夏惟先輩が。だからこれコピーしてくる。」
「え、今から?」
時計を見るともうすぐ23時になるところだった。
「コンビニはすぐそこだし、コピーするだけだから大丈夫だと思うんだけど?」
「いやいや、お前その格好で行くのか?」
「え?うん」
岳人が言うその格好とはふわふわもこもこのパジャマの事かな?