雷獣
ベットの上でそっと目を覚ます遥香。
左右を見渡して夢に出てきたところだと認識して体をおこす。
カーテン越しには拓哉達の楽しそうな話し声が聞こえる。
さっきのは夢じゃなくて実際に起きた出来事、私が体験していて失った記憶の一部。
小さい声でそっと呟いてみる
「たく.....。」
うん....。まだ違和感はあるけど”先輩”呼びよりしっくり感はあるかな?....。
そう思っているとカーテンがバッと開いた。
ビックリしてそのまま固まる私と
同じくビックリした顔をしてカーテンを開けた拓哉。
「お、おはよう.....ございます.....。」
まだ心の準備ができてないのにカーテンを開けられてしまったから
思わずおはようと言葉が出た。
「身体h「ねぇ、俺の事呼んだ??」」
見覚えのある光景が繰り返される。
まさかさっきの小声でつぶやいた声が本人に聞こえているとは思わなくて急にはずかしくなり布団で顔を隠す遥香。
そこに近寄る拓哉。
「お願い......、もう1度呼んで?」
布団から少しだけ目を出してみると
切なそうな顔でお願いされるもんだからもう一度小声で言う。
「.......。たく.............。」
遥香から口にされる久々の呼び捨てに嬉しくなりにやける顔を手で押さえる拓哉。