雷獣

後ろでは楽しそうにがやがやと聞こえる
「お願いのキリがないからあと1人1つずつにしてくれる?」

「僕は1つじゃ足りない‼せめて3つ‼」

「身が持たない!断固拒否‼」

「遥香のケチ‼」

「ケチで結構!倉庫着くまでほっといて‼」
そう言い今日着ていたパーカーを羽織りフードを被って寝たふりをする遥香
そんな恥ずかしそうにする遥香を楽しそうにみる拓哉さんと風翔さん

昨日の事が嘘のように今までと変わらない光景をみれて
ホッとする洸希。このままこの光景が続いてほしいとひそかに願いながら運転を続けた。

「着きましたよ」
洸希の声で目を開ける。

まだお昼前だけどそんなの関係なくみんないるんだろうな
「はぁー--。」
拓哉達は先に降りて幹部室へと続く階段を登っていた
なるほどね、私一人で来いと....。
覚悟を決め車から降りようとすると

「そう、案外覚悟を決めた方が恥ずかしくなかったり。」
洸希がバックミラー越しにそう言ってくる。

「そうね、女も時には覚悟決めて腹くくらなきゃね。おしー-。いっちょなりきって行ってくるわ。運転ありがと。」

覚悟を決めた遥香は車を降りて階段を目指して歩いて行った。
その後ろ姿がたくましくてメイド服とに合わず思わず写真をとった洸希だった。

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