雷獣

「はい、ちゃんと被っておけな」
そうヘルメットを渡してくる。

「んじゃ行くぞ、しっかり捕まっておけ。」
急に発進したので思わず先輩の服を握りしめた。

一応気遣ってくれているのかそんなに飛ばすほどのスピードじゃないし安全運転なのかな?と目をつぶり頭痛に耐えながらもそんなことを思っていた。
数十分後倉庫についたのかエンジンが止まった。

私はもう自力で歩ける気力はなくそのまま遠藤先輩の背中にもたれた。

「姫さん、着いたけど......歩けそうにないよな。仕方ねーな。」
頭痛でぐったりしている私をまた抱き上げて倉庫へと入って行った。

倉庫に入ると各々過ごしていた下っ端君達が遠藤先輩に気が付いた。

「!!おい‼遥香さんに何した!?」
私の様子がおかしいことに気付いて声を荒げる剛。
私は大丈夫だからその大声頭に響くからやめてほしい。
なんて言えず頭痛の痛さに顔を歪める私。

「お前らの姫さん送り届けに来ただけだよ。姫さん頭痛いらしいから大声やめてやれ。
んで、やり合おうなんて気はねーから帰りてーんだけどお前に姫さん渡していい?」

「んな事無理に決まってんだろ。拓哉さんに直接説明しろ。」

「はぁ、どっちにしろこうなるか。」
ため息をつきながらわたしの耳元に小声で”重いから下ろしていいか?”と聞いてくる。
女子にたとえ本当だとしても直接言う!?
遠藤先輩にしか聞こえない声でボソッと.....最低。と言う
その言葉にクスクスと笑いノーダメージの先輩。
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