雷獣

笑っているとようやく如月が降りてきた。

「よう、遅かったな。」
ぐったりした遥香を抱えながら呑気に話をしてくる遠藤。

「遥香に何した。2度目はないぞ、わかってて来たんだろうな。」

「おいおい、俺が敵意ないのがわからないほど頭に血が上ってんのか?自分で迎えも呼べないほどぐったりの姫さんを俺は送り届けに来ただけ。」
ほら、大事な姫さん返すよと言うと私をようやく下ろしてくれたけど
立っていられる気力もなくそのまま遠藤先輩にもたれかかる。

「もたれかかる相手間違ってんぞ」と背中をポンッと押され自然に足が前に出て拓哉の腕に倒れこむ。
拓哉がきちんと受け止めてくれた。
「ごめん.....」とだけ呟く。

「んじゃ、お届け物届けたんで俺は帰ります。」
そう言い倉庫を出ようとするが風翔と岳人にガードされる。

「ね?聞いてなかったの?俺に今、敵意はない。それでもやりたいんだったら買うけど?」
倉庫内がぴりつく。

「.......その話ほんと。遠藤先輩悪くない。」
このままじゃ遠藤先輩が勘違いされちゃうと思って声を振り絞る。
倉庫内が静かだったので遠藤先輩までの距離なら聞こえたようだ。

「ほらね?姫さんがそう言ってるんだからてか、姫さん頭痛やばそうだから早く寝かしてあげた方がいいよ。じゃあね~」
ヒラヒラと手を振りながら風翔と岳人の間を通って帰って行く遠藤先輩にお礼を言ったが聞こえなかったようだ。
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