雷獣
「誰から聞いた。」
拓哉が低い声で遥香に聞く。
この状況に不安を隠せない遥香がおどおどしながら答える。
「え、遠藤先輩が悠二さんがどうのこうのって言ってただけ。
聞き覚えのある名前だなって思ってみんななら知ってるかと思ったんだけど.....」
「知ってるも何も......。」
「なに?教えてお願い。」
渋る拓哉に対して夏惟が口を開く。
「”あの日”の原因の人物です。」
「え?.....。」
「はるにはもう隠し事しないって決めたしはるが知りたいなら話すよ。」
「......うん。他の人から言われるより信用してるみんなから話を聞きたい。」
「あの日俺達の学校に忍び込んで図書室で待ち伏せしてたのは日下部悠二。紫虎の総長だよ。
幹部の遠藤の制服を借りて忍び込んだらしい。
それは俺達も完全に油断していた。
それでそのまま裏門から....。
洸希は正門で待機していたらしいから...。
で、あまりにも遥香が遅いから電話してそこで日下部が遥香の携帯にでて.....。」
なるほど。
大体、話が見えてきた...。
「しばらく紫虎と争いもなかったもんだから俺達が油断してたんだ。」
「いや、拓哉達のことだからきっとずっと警戒してくれてたんだよね。
それを私がやらかしたんだ......。ごめんなさい。」