雷獣

「はぁー-.....。」
勘弁して、、見えそうで見えないが一番やばいんだから。
自分が可愛いって自覚もないしほんとに困る。

そのうち遥香が着替えて出て来る。

「じゃ、お願いします。」

「うん、じゃ後ろ乗って。」

「あー。どうやって乗ったらいい?」

「え?」
拓哉が驚いて後ろを向く。

「遠藤のバイクはどう乗ったの?」

「.....。乗せてくれた、ひょいって持ち上げられた。」

「え?乗せてもらったの!?」

「う、うん。」
そう言うと少しだけふてくされる拓哉。
な、なんか機嫌が悪い?...
するといきなり私を持ち上げて乗せてくれる拓哉。

「わぁ、いきなりはびっくりするよ。声掛けてからにしてよー」

「今後は自分で乗り降りできるようにしてね。」

「う、うん。」
ヘルメットを渡され大人しく被る。

「んじゃ、行くよしっかり捕まって。」
そう言われたので遠藤先輩のバイクに乗った時のように服を掴む。

「いや、それじゃ怖いわ。こう腕を回して掴んでて。」
そう手を掴まれ拓哉のお腹に腕を回す。
拓哉の背中と密着する。

「.......あったか。」
ボソッと呟く。拓哉には聞こえてないみたいだ。
エンジンがかかり大きな音と、振動が体に伝わる。
バイクが走り出す、風がものすごく冷たい。
着替えて正解....。
冷たい風と拓哉の温かい体温を静かに感じる。
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