雷獣
「あー、なしなし。その話ハズイから忘れてくれ。」
「何だよ、めちゃくちゃ嬉しそうに話しに来てくれたじゃんか。」
「だからそれを今ここで話されるのがハズイって言ってんだよ、この馬鹿!」
「あーー‼、今なんっってた!?馬鹿!?同じぐらいの脳みそが馬鹿とか言ってんじゃねーよ!」
後ろから運転してる洸希のこめかみをグリグリする叶葉さん。
「っちょ、お前あぶねーからやめろ!事故るだろ!」
「んじゃ、まずはそっちが”ごめんなさい”だろうが!ご・め・ん・な・さ・い‼」
「はいはい、すみませんでした‼」
半分投げやりの謝罪だが叶葉さんの怒りは収まったようで分かればいいんだよ。と満足気だった。
「あ....ごめんね、なんかこっちだけ盛り上がっちゃって。」
ポカンと取り残されていた遥香を見て叶葉が謝る。
「いえいえ、全然気にしてません。ただ雷獣で見る洸希と全然違うから叶葉さんの前では素なのかなーって思って見てました。」
「あぁー、洸希は雷獣にいる時は猫被ってるからなぁー。」
「バーカ、お前みたいな幼稚な奴がいねーからこんなガキみたいな言い合いにはならないだけだよ。」
「あぁ?なに?またグリグリする!?」
また喧嘩を始める2人を見てクスクス笑う遥香。
「私はどっちの洸希も好きだけどなー」
そう言うと目を丸くしてこちらを見る叶葉さん。
そこでようやく気付く
洸希を呼び捨てで呼んでる事、深い意味はないとはいえ叶葉前に”好き”と言ったこと........。