雷獣

その頃車に1度荷物を置きにいった洸希は電話に出ていた。

「ーもしもし。」

「写真見た。休日に悪かったな。」

「いえ、叶葉も楽しそうですし遥香も楽しそうですよ。」

「よかった。遥香を家まで送った後、倉庫に来れるか?お前にも情報共有しておきたい。」

「分かりました。多分まだ買い物する気でいると思うんで多分夜になりそうなんですけど....。」

「じゃあ、送り届けてから出る時連絡くれ。」

「分かりました。」

「じゃ、もう少し遥香をよろしくな。」
そう言い電話が切れた。

そう、今日叶葉が会いたいと言う理由は半分口実だ。
拓哉さんに頼まれて今日は倉庫に行かないように誘導した。

倉庫では今、紫虎をどう潰すか作戦を練っている所だろう。

”遥香に心配をかけたくない”

拓哉さんがそう言い遥香の前では極力、普段通りに振る舞うことにしたのだ。
そのため今日遥香を1日連れ出す必要があった。

でも......
「ーーーっふ。」

思わず笑いがこみ上げる。
叶葉を理由に連れ出したがそんなのが気にならないぐらい2人の中は深まったように思えた。いろんな店舗を回りながら服を見る2人はまるで本当の姉妹のようだった。

これからもそんな2人であってほしい。
そう思いながら吸っていた煙草の火を消して2人の元へ戻る洸希だった。
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