雷獣

無言の車内
突然拓哉が喋りだす。

「さっきの......」

「え?」

「さっきの抱きしめられるかと思った??」

「っっ///.....。」

さっきの出来事を思い出してまた顔が熱くなった。

「そ、そんなことないよ。少し紛らわしかったけど....。」

「そのまま抱きしめてもよかったんだけどね」

「えぇ!?」
思いがけない拓哉の発言に恥ずかしさと疑問を持つ。
誰にもかまわず言ってるんだろうか?
そう思うと少し胸が苦しくなった。

「あの.............。」

「なに?」

「拓哉はその、誰にでもこういうこと言ってるの?」

「え?」

「その.......抱きしめてもよかったとか......。キスとか.......。」
思わずこの前されたキスについても聞いてしまった。
聞くつもりはなかったのに....。

「...........。んなわけないじゃん。そんな事言うのははるだからだよ。」
悲しそうな顔をしながら拓哉が言う。

「今まで聞けなかったんだけど、その、拓哉って私の.....」

「それは俺からは言えない。どうしても俺の口からじゃなくて思い出してほしいんだ。」
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