雷獣

..........。どうしても思い出してほしい。
って事はやっぱりそうだったの?
私、それも忘れちゃったの?

「ごめん、苦しめてるよね。」

「あ、いやそんなことはないよ。ってもこの話の流れだとそう思っちゃうよね。
俺はさ、はると一緒に居られるだけでも幸せなんだ。だからはるが思い出せるように思い出の場所とか連れて行ってあげられるけどそこで思い出せなくても自分を責めないでほしい。

はるがまたそれで苦しむのは嫌だから。
俺ははるから離れる気はないから何年かかってもいい。
いつか思い出してほしいなって思ってる。

触れるのもはるが嫌ならもうしない。
けど俺の気持ちは伝えさせて?」


「はる、好きだよ。」



ちょうど信号が赤で車は止まっている。
拓哉が私を見てフワッと笑いながら言う。
その笑顔がとっても優しくて思わず泣きそうになる。

「......。ありがとう。」
ただ一言返すだけが私の精一杯の返事だった。

「もうすぐクリスマスだね。雷獣のみんなでクリスマスパーティーするんだけど遥香も一緒にどう?バカ騒ぎして楽しいよ?」

気まずい空気にならないようにか気を使って話題を変えてくれた
拓哉に感謝しながら話を聞く。
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