雷獣


「あの....」

沈黙を破ったのは遥香だった。

「皆さんの名前聞いていいですか?あ、私は篠崎 遥香と言います」


そんなの知ってると言いたそうな顔をしながら
「”初めまして” 俺は如月(きさらぎ) 拓哉です。篠崎さんと同じ学校で2年です。」


そんな拓哉の挨拶に風翔が目を見開く。
岳人が小さな声でそんな言い方あるかよと
夏惟は眉をひそめ成り行きを見守っていた。

拓哉の挨拶を聞いて遥香の顔が少し安堵したように見えた。


「そっか先輩なんですね、皆さん先輩ですかね?」


「いや、俺はタメだよ永原 岳人。同じクラス」
と岳人

あっ。と声を漏らし
「私、同じクラスなのにそれも忘れちゃってるんですね。”ごめんなさい”」
悲しそうな顔をして言う遥香。


その顔よりひどい顔をしてた4人
拓哉達にとってこれほど残酷な”ごめんなさい”はないだろう。
< 31 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop