雷獣


コンコンコン.....
「失礼します。」

スライドのドアを開けると
パソコンを見ていた先生は顔をこっちへ向けてどうぞと言った。


「診断の前に確認で聞きたいことがあるんだけど、思い出せると範囲でいいから一番新しい記憶って何か教えてくれるかな?」

「えっと.....。」

遥香が目を閉じて眉をゆがませながら
「にゅう...がくしき....かな?」

先生はうんうんとうなずくと1枚の画像をうつしだした。

「これはさっき撮った篠崎さんの脳の画像なんだけど
綺麗で異常はありませんでした。萎縮も見受けられないし至って健康な脳でした
昔のことを忘れているわけじゃないし1年以内の記憶もしっかりある。

このことから言える結果は一時的な記憶障害かなと思います。」

そう医師の口から聞くと2人とも少し安堵したようで
顔の緊張が少しとけたようだ

「ただ、」

「「ただ?」」


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