雷獣

「いやいや、私握力ないしリーダーとか向いてないんで」

「ふーん、遥香がリーダーでも面白そうだけどね」

そんなやりとり見ながら洸希は昔のようだと少し思っていた。

遥香さんを迎えに行くときは大体、拓哉さんが同乗することが多くて
よく倉庫につくまで3人で話をした。

最初は黙って話しかけれれる事だけに答えていたけど
遥香さんが”洸希にも話入ってよ、寂しいじゃん”と....
遥香さんと拓哉さんの話に入るなんて恐れ多いと言ったら

”私は洸希と同等どころか洸希の方が古株なんだし
ここでのルールに従えば下は私。喧嘩もできない。
それに郷に入っては郷に従え。じゃない?”

それを聞いてあぁ、だからこの人は選ばれたのかなって思った。

思い出し笑いをしていると

「えーなんで笑ってるんですか?」
「えーなんで笑ってるの?」

「昔の事を思い出して少し
遥香さん、ゆっくりでいいです
記憶がなくても遥香さんは遥香さんなんで」

洸希のにこって笑う顔がフロントミラー見えた。
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