雷獣
ピーンポーン。
映し出された画面を見るとそこにはさっきまで一緒にいた拓哉先輩が
上着も着ないまま両腕をさすりながら立っていた。
ガチャ。
「拓哉先輩?何してるんですか上着も着ずに...」
「これ、夏惟が遥香の忘れ物だって」
拓哉先輩が手に持っていたのは私の携帯だった。
「あ、そうです。ありがとうございます」
「慌てて帰ったみたいだから忘れたんじゃない?」
震えながら言う拓哉先輩を見かねて
「部屋、入りません?寒いですよね?」
「いや、これだけ渡そうと思っただけだから」
じゃ、と帰って行く。
先輩の後ろ姿に向けて
「あの、今日はすごく楽しかった!ありがとう、”拓哉”」
じゃ、おやすみなさい!そう言い玄関を閉めた。