初雪が降るころに・・・
沖田視点


「し、白の忌み子!?!」


突然、茶屋に行ったら喚き出した男。


白の忌み子?


なんのこと?



雪乃さんが、そうなの…?



ただ、冷めた目でその男を見下ろす雪乃さんは、いつもと同じには見えなくて……



とてつもなく、不安になった。



俺のことが忘れられるんじゃないかって。


この男がいることで、もう、俺を忘れて、俺のことを知らなかったあの頃の雪乃さんに戻ってしまうんじゃないかって…







「すみません」









気が付いたら声を掛けていた。








それと同時に俺のことが彼女の視界に入る。



そして、とてつもなく、傷ついた表情を、









闇に染められたような瞳をした。









その根源が気になって、男に問いかけた。



「あなた、今のどういう意味ですか?」




「あの時死んだんじゃ…って、どういう意味ですか?」




捕えようと思えば、捕えられる。




滅多に使わない権力でも使ってでも。





『新選組』という、言葉を使ってでも。




俺は、雪乃さんを救いたい。





この、闇を全て、取り払いたいんだよ。






そう、思うくらい俺は、雪乃さんが大切なんだ。









男の言葉を聞いて、走っていった雪乃さん。








「雪乃さん!!!」


今すぐにでも追いかけたい。


でも、この男を………











「総司?」











俺の権限で男を新選組に来てもらおうと思い、話しかけようとしたところで邪魔がはいった。


折角、雪乃さんのことをしっかりと教えてもらおうとおもったんだけどな…?

なんで邪魔するんだろう。

そして苛立つ俺は、その、声を掛けた本人に向かって苛立ちを隠しもせず口を開いた。












「土方さん、なんでいるんですか?」





















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