初雪が降るころに・・・
そして、このあとには続きが入ってある。

長屋の近くまでおぶられた私。

「こ、ここまでで平気です

ありがとうございました」

「そうですか?」

そう話していた時だった。




「雪乃!!!」





「皐月…」

いつも笑っているはずの皐月が顔を歪め、こちらに走ってくる。

「どうしたの?皐月」

「どうしたのじゃないでしょ?!

この男は誰だよ?!!」

「え?」

わけがわからない…

怒っているの?

なにに…?

「知らない人だろ?!

おぶられてるなんて!!!」

「すみません。

雪乃さん、泣き出してしまって疲れてしまったようだったので、送ったんです」

「沖田さん………」

正直、言って欲しくなかった………

「泣いた…?

雪乃が……?」

ぼそりとそう呟き、私に手を伸ばした。

「皐月…?」

違和感を感じた。

「おいで、雪乃」

いつもの笑顔。

だけど、違う

皐月はこんなことする人じゃない…

「……大丈夫。歩ける」

沖田さんに降ろしてもらい、ゆっくり皐月の横を歩いていった。

「あ、雪乃さん」

「なんですか?」

振り向くとふわりと笑う沖田さん。

「明日、お団子食べに行きませんか?」

あら、迷うね。

でも…お団子…食べたいな…

「……いいですよ」

そう言ったら、皐月が微かに顔を歪めた。

「では、また明日

壬生寺で待ってますね」

「はい」

沖田さんが笑って言ったのを確認してから、私は長屋へ歩いていった。




そのあとで、

「どういうつもりですか?」

「え?なんのことでしょうか?」


皐月と沖田さんが、


「もう、雪乃に近づかないでいただきたいですね」

「なんでですか?」



こんな会話をしていたなんて、



「……雪乃は俺のものなんです。

ずっと、ず〜っと。

今までも、これからも………です

だから、貴方のような人……



邪魔なんですよ?」




「酷いですねぇ…

君がこんなに独占欲が強いなんて、雪乃さんは思わないでしょうね」



「………貴方が、あいつの名前を呼ばないでいただきたい。

あいつの名前を呼んでいいのは俺とあの人だけだ。」






私が知るはずもない











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