タイガーハート
『小虎ー!!!!』
隼人と二人、購買部から教室に戻ると、脳天まで突き抜けるような大声が飛んできた。
「伏見。」
『おっす!』
教室の入り口。向かい合ったまま沈黙する。
「…何?教室、入りたいんだけど」
『お、あ、うん!ごめん!』
焦りながら、慌てて退く。
机に座ると、後ろからついてきていた伏見が意を決したように口を開いた。
『うーん…!あのさぁっ、
小虎って、土曜日ひま?
もしよかったら、一緒に文化祭の会議しない?』
文化祭の会議?
するもんなのか?と考えつつ、答える。
土日はバイトだ。
「あー、ごめん。バイト」
『そーなの!?
じゃあ…日曜は?』
「バイト」
まっすぐ目を見たま答える。
『そーっか、だよね…
ごめん!大丈夫!』
伏見は眉毛を下げて笑い、踵を返す。
「伏見」
不思議そうな顔で振り返る。
『ん?なに?』
「…金曜の放課後なら…」
わかってはいるものの、
まるでデートの約束をしているような恥ずかしさに襲われ、顔が熱くなる。
『まじで!?』
伏見は、ぱぁっと華やぐように嬉しそうに笑った。
横目で、隼人が笑いを堪えきれず吹き出した。