タイガーハート
朝。
いつも通り校門をくぐり、玄関へ向かう。
玄関に差し掛かると、見覚えのある姿が立っていた。
野並 梨央だ。
『あ、あの、
おはよう。昨日はありがとう。
それでね、お願いがあって。
落ち着くまで一緒に帰ってもらえないかなって』
言い終わると、顔を上げた。
彼女をまっすぐ彼女を見つめ返す。
「…野並さん。
普通の幸せを奪われたくないなら、自分で守れ」
そう告げると、彼女の横を通り過ぎる。
普通の日々が崩れていくことの怖さを知っている。
そして、それは突然無くなることや、誰かに奪われることもある。
それを守れるのは自分だけだ。
ーー脳裏に暖かい笑顔が浮かんだ。