タイガーハート


朝。
いつも通り校門をくぐり、玄関へ向かう。

玄関に差し掛かると、見覚えのある姿が立っていた。

野並 梨央だ。

『あ、あの、

おはよう。昨日はありがとう。

それでね、お願いがあって。


落ち着くまで一緒に帰ってもらえないかなって』

言い終わると、顔を上げた。
彼女をまっすぐ彼女を見つめ返す。


「…野並さん。

普通の幸せを奪われたくないなら、自分で守れ」


そう告げると、彼女の横を通り過ぎる。



普通の日々が崩れていくことの怖さを知っている。
そして、それは突然無くなることや、誰かに奪われることもある。

それを守れるのは自分だけだ。


ーー脳裏に暖かい笑顔が浮かんだ。

< 20 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop