タイガーハート
伏見の気持ち
教室へ戻ると、伏見が手すりにつかまり窓の外を見ている。
教室、机、カーテン、青空、
そして、伏見。
全てが絵から飛び出してきたような美しさとバランス。
茶色の長い髪が風でふわっとなびいた。
教室へ入ると、伏見が少しだけ振り返った。
『小虎?』
「うん」
『小虎もさぁ!』
前を向き直り、伏見がわざとらしいくらいの明るいトーンで続ける。
『やっぱり梨央みたいな子が好きっ!?
なんか、さっきの!
小虎、わっかりやっすーい!』
けたけた笑っている。
けれど、どこか様子がおかしい。
手すりを鉄棒みたいにして、ぴょんっとお腹を手すりにつけた。