タイガーハート
ポニーテール


次の日。

少しの緊張と共に教室へ入る。

『小虎、おはよー』

「おはよ」
すれ違うクラスメイトに挨拶を返す。


席に座ると、教室の真ん中で談笑する伏見の姿が目に入る。

胸が高鳴るような、気恥ずかしいような感情が押し寄せる。


『あ、ちょっと行ってくる!』
伏見は友人にそう言うと、こちらへ歩いてくる。


『小虎!おはよっ!』

「ん、おはよ」

簡単に挨拶を済ませると前の席に腰掛ける。
ただ、それだけの事なのに全てがすごく特別なものに思えた。


今日の伏見は、髪の毛をアップにしていた。
いわゆるポニーテールだ。


「髪の毛…」

『えっ?』

伏見がこちらを見る。
女の子の褒め方なんて知らない。

なんて言えばいいのか、考えていると、

『へ、変かなぁ…?』

伏見が続ける。



「あ…」『おっす!』

言いかけると同時に、肩を叩かれる。
隼人だ。


『あれ?伏見?

こんなとこにいるなんて、めずらしいねー。』

『あ、うん!おはよ!』

二人して取り繕うような、変な態度になる。

『あ、行くね!お邪魔しました!』

伏見は席を立つと、
自分の席へ戻っていった。


< 30 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop