タイガーハート
幸せな時間
伏見と付き合い始めて、1ヶ月と数日が経とうとしていた。
心地良い暖かさと満腹が手伝い、眠気を誘う昼下がり。
単語帳を見ながら、
大学ノートに次々と英単語を書き込んでいく。
そこへ、
『文化祭の出し物、何にするー?』
気怠そうな声が落ちてくる。
「んー…」
『…こーとーらー!』
名前を呼ばれ、ハッとする。
つい集中してしまって、返事を出来ていなかった事に気付く。
気付けばすぐそばまで迫っている文化祭。
伏見は、その事で頭を悩ませてるようだった。
何でもいいんじゃないの、と言ったら
“『せっかくやるなら凝りたいじゃんっ!』”
とやる気満々だ。
「ごめん、
んー、メイド喫茶?」
『なんで?
さては、あたしのメイド姿が見たいのー?』
ニヤつきながら覗きこんでくる伏見。
顔を上げると至近距離で目が合う。
「全然似合いそうにないから」
それを聞いて面食らった顔をしたが、すぐに不満の表情を浮かべる。