タイガーハート
拒絶
視聴覚室に入る。
つい神経質になる、新品の機械の匂い。
この部屋は苦手だ。
窓は常に暗幕が閉められており、掃除の時にしか開けられない。
その為か、この部屋を授業以外に使う輩は、ろくな事をしていない。
部屋を見渡していると、後ろの引き戸が開く音がした。
『小虎くん』
続いて声がする。
声の主と向かい合う。
『あの、「野並さんは、伏見の事嫌いなの?」
野並さんの発言に被せて質問する。
最初からこの為だけに来た。
伏見の幸せだけは奪わせない。
どこの誰にも。