タイガーハート
沈黙が訪れる。
『私も…、』
沈黙を破った野並さんの声が、心なしか震えている。
『私も、小虎くんの事が好きだったの!
小虎くんは…っ、
特別なの、ずっと。
持っている雰囲気も、ぶっきらぼうな話し方も、たまに見せる笑顔も。
全部が特別で、大好きなの。
そんな小虎くんの視界に入る方法なんてわからなくて、ずっともがいてた。
でも、ももはどんどん小虎くんと仲良くなって…』
ポロポロと涙を流しながら、
言葉を吐き出すように続ける。
『ももが…、ももが奪ったんだよ…っ
私じゃ叶わない事が、ももなら目の前で叶っていく…、
小虎くんも手に入れて…っ!
どうやって!!
どうやって好きになれって言うのよ!!』
視聴覚室に悲鳴にも似た声が響く。