タイガーハート
誰かの犠牲の上に成り立つ幸せ。
それは本当に幸せなのか?
自分が言った言葉を思い返す。
野並さんや、隼人。
誰かを犠牲にしてでも、伏見が好きな自分。
色々な感情が矛盾して、考えれば考えるほど頭が痛くなる。
もちろん、母との関係も平行線の一途を辿っていた。
帰宅し、着替えを済まし居間へ入る。
食卓の準備を手伝うまでの時間、
母と並んで炬燵に座り、テレビを見ていた。
その時。
『とら、学校で何かあった?』
母が口を開いた。
驚いて母を見る。
『ごめん、何もないならいいの』
急いで付け加える母。