タイガーハート
体育館裏入り口から、ステージ袖へ移動する。
二人の間に一切言葉はない。
だが、伏見が俺を拒絶していることくらい、容易くわかる事だった。
体育館に人が入り、ざわめき始める。
ついに前夜祭が始まる。
眩しいスポットライトの中。
横を見ると、伏見の姿。
二人で手を繋ぎ、寄り添い歩く。
少し前までは、当たり前だった。
こんなにも特別で、こんなにも大切だった。
『ズバリ、彼の、彼女の好きなところは!?』
司会者が参加者それぞれにマイクを向ける。
伏見の順番が来る。