タイガーハート


伏見は、気まずそうに目を伏せたが、
すぐに笑顔を浮かべ答えた。

『優しいところ、不器用なところ、努力家なところ、

馬鹿なところ…


…全部っ!』

あはっと笑う。
今にも泣き出しそうな、儚くて切ない笑顔。


それを受け、会場が俺達を囃し立てる。
『ズバリ、彼氏はどうですか!?』

俺の目の前にマイクが添えられる。



それを無視するように、伏見を見る。
伏見は、もうこちらを向かない。


わかっている。
でも、俺は。


「伏見の、全部が好き」

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