タイガーハート
『小虎くんっ!!!
待ってよっ!!!』
声を振り切るように、廊下をつかつかと進む。
人で賑わう場所を抜け、階段を使い、どうにか巻こうとする。
だが、野並さんは諦め悪く後を付いてくる。
遂に立ち止まる。
気付くと、あまり人気のない場所まで来ていた。
目の前には音楽室。
『小虎くん…っ
話…聞いてよ…っ』
「野並さん、
俺全然わからないんだけど。
どういうつもりなの?」
散らかった頭の中を整理しながら話す。
こんなに大っぴらに誘ってくる理由は何?
だってこんなのが公になったら、野並さんは皆から嫌われるはずだ。