タイガーハート
すると、俺の考えが読まれたかのように、彼女は切り出した。
『…ごめんね。でも、
キスしたこと、後悔はしてない。
私は小虎くんの事が好き。
皆に嫌われてでも手に入れたいの』
切れた息を整えながら、更に続ける。
『何かあったんでしょ、ももと。
…でも、
私なら小虎くんを信じる』
「野並さん」
野並さんの言葉を制する。
「どれだけ伏見や皆に嫌われたとしても
俺が好きなのは、伏見だけだ。」
この気持ちには嘘は付けない。
黙りこむ野並さんの横を通り過ぎる。
『どうしても、ももじゃなきゃダメなの…?』
背中に小さな声が届いた。