タイガーハート

きっと、伏見はもっと辛い。
諦める事が出来たなら、もう伏見にこれ以上悲しい顔をさせずに済むのだろうか。

色々な考えが思い浮かんでは消えた。
完全なる堂々巡り。

そんな調子で初めての文化祭は、ずっと空を眺めて終わった。

だが、出し物のメイド喫茶は大盛況。
その証拠に、クラスへ戻ると、疲れ果てた皆の姿があった。

だが、少しだけ教室内の雰囲気がおかしい。
不審に思いながら、教室へ足を踏み入れる。

そこへ、すぐさま隼人が歩み寄って来る。
『虎、今は…、まずい』
バツの悪そうな顔をした隼人。


『小虎』
声の方へ視線をやると腕組みをして仁王立ちをした女子生徒が数人。
いつも伏見と一緒にいるグループのメンバーだ。

『あと、梨央。

来なよ』

少し離れたところには野並さんと伏見の姿。


「何?」
聞き返すと、キッと鋭い視線が返ってきた。

『とぼけんなよ!!!

梨央とキスしたって、何?

どういう事?』


そういう事か。
大体の内容は汲み取れた。

< 64 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop