タイガーハート
その瞬間。
『危ないっっっ!!!!!!!』
大きな声が体育館に響き渡る。
声のするステージ上に目を向けると、何かが落下してくる。
俺は目の前の伏見に手を伸ばす。
と同時に目の前が白くなった。
『小虎っっ!!!!!』
霞む視界。
誰かが俺を呼んだ。
頭が痛む。
手を動かそうとする前に、誰かの手が頭に触れる。
それと同時にチリチリとした痛みが頭に走った。
どうやら怪我をしているらしく、痛みが脈打つように強くなってきている。
『誰かっ、
先生呼んで!!
…早くっっ!!!!!!』
目の前の人物が泣き叫ぶように言う。
やっと焦点が合ってくる。
「伏見…、怪我は…?」
『小虎!!大丈夫!?
ばかっ、何してんの…、
すぐ、先生来るから…っ』
俺の顔を下から覗き込み、半ばパニックになりならがら泣きじゃくる伏見。
『ご、ごめんなさい!ごめんなさい!』
横に目を向けると女子生徒が俺を覗き込み、しきりに謝りながら心配している。
そこへ騒がしい足音が近づいて来る。
『どうした!!』
『先生!早く保健室に!』
口々に皆が言い、誰かが俺の腕を支えて立ち上がる。