タイガーハート
「…待って」
俺を支える手につぶやくと、するりと腕を抜き、振り返る。
ジワジワと鈍い痛みに顔をしかめる。
顔をツーっと伝うものを感じる。
それを拭うこともなく、一人の前に立つ。
よほど、ショックだったのか彼女は未だ涙をポロポロ零している。
『小虎…っ、はやく、血が…っ』
「泣くな」
そうつぶやくと、涙で濡れた頬に手を添える。
「大丈夫…」
伏見の顔を覗き込み、少し笑う。
振り返り、付き添いの人と共に歩き出す。
保健室に向かって歩く。
その間に痛みには少し慣れてきた。
一通り手当を終えると、
『頭打ってるし、
念の為、病院に行こっか』
保健医に促される。