タイガーハート
初めての気持ち
「ちゃんと行きます。
…でも、
ちょっと時間もらえませんか?」
丸椅子に座りながら保健医を見上げた。
『わかったわ。
じゃあ14時にはここを出ましょう』
相変わらずの、のほほんとした優しい口調で言う。
保健医にお礼を言い、保健室を後にし、会場である体育館へ向かう。
時計を見ると、13時半を指している。
14時からは後夜祭が始まる。
すでに生徒が移動を始めており、廊下には人が飽和している。
「ちょっとごめん、通して」
人並みをかき分けながら前へ進む。
その声に振り返る人達は、俺の頭に大げさに巻かれた包帯を見る度、ぎょっとした顔をしながら道を開けた。