タイガーハート
『え、小虎って勉強できるの?』
『先生脅したりして!』
『ちょっと聞こえる!』
小さな笑い声が聞こえる。
聞こえてるし。
何とでも言え。
こんなのは…慣れてる。
その時。
『小虎って真面目だもんね!
いつもちゃんと勉強してるし!』
よく通る声が教室中に響く。
伏見だ。
『…確かに。いつもちゃんと予習してるよね』
ヒソヒソ話が肯定に変わる。
こんな狭い教室で、40名ほどの関心が集まってくる。
うっとおしい。
心の中で悪態をつき、廊下へ目をやる。
『お前等も小幡を見習えよー!
じゃ、小テストするぞ!』
先生の一言を合図に皆が前に向き直る。
伏見の言葉に、心が暖かくなる。
廊下に面した窓から空が見える。
何だか今日はいつもより明るく感じた。