タイガーハート
「っ伏見…!!!!
マイク入ってる!!!」
あまりの事に気付かなかった。
気付けば、客席は静まり返り、伏見の告白は体育館中に響きわたっていた。
『ええええ!?まじで!?』
素っ頓狂な声を上がり、手が引っ込められる。
振り返ると、伏見が慌ててマイクをオフにする姿が目に入る。
「…ふっ」
思わず吹き出した。
笑いが止まらず、声を上げて笑った。
『もぉっ、』
それを見た伏見も吹き出し、眉を下げて笑う。
大注目の中、笑い合う。
すると、はっとしたように伏見が声が上げる。
『あ!時間!!』
時計に目をやると、既に14時を回っている。
どちらからともなく目を合わせる。
「行って来い。
俺も病院行ってくる。」
ふっと目を細め、伏見は笑う。
『小虎、石頭だから大丈夫だと思うけどね!』
「バスケットボール蹴る女がよく言うよ」
『なっ!!』
あからさまにむっとしたような顔をする。
「早く行け」
笑い混じりに送り出す。
わかったわよ、とでも言いたげに笑うと、
光が差すステージへ歩き出す伏見。
ステージに伏見の背中が吸い込まれると同時に、冷やかしが混じった大きな歓声が上がった。